アロマテラピーの歴史

古代

紀元前3000年頃のエジプトでは、神官を中心に、植物の香りを悪魔払いなどの宗教的な儀式を行ったり、皮膚を守る軟膏や香油を作り用いていたと言われています。また、ミイラを作る時の防腐剤として フランキンセンス、ミルラ、シダーウッド等が利用されていたそうです。

古代ローマ帝国時代の軍医ディオスコリデスは、旅をしながら薬物を実地研究してマテリア・メディカ(薬物誌)を著しました。これに収録されている植物は600種類にも及び、数百年の間、世界の薬草鑑定のバイブルのように使われていました。

また、ローマ帝国の皇帝ネロはとてもバラを好み、バラの香油を身体に塗らせたり、皇帝が合図すると天井からバラ の花が降りたりするなど、常に部屋をバラの香りで満たしていたと言われています。


中世

11世紀頃、アラブ人のアヴィセンナは、バラを用いた錬金術の過程で、精油とバラ水ができることを発見しました。(水蒸気蒸留法)バラ水は十字軍により、ヨーロッパに広められ、その他にもサンダルウッドや高価なスパイスなどが持ち帰られました。

14世紀頃、「世界最古の香水」「若返りの水」と言われるハンガリーウォーターが作られました。

ハンガリーの王妃エリザベート1世は、献上されたハンガリーウォーターを毎日のように入浴や洗顔などに使ったところ、ポーランド国王からプロポーズされるほど美しくなったという伝説が残っています。


現代

20世紀初頭、フランスの化学者ルネ=モーリス・ガットフォセは、 研究中にヤケドを負い、とっさに側にあったラベンダーの精油に手を浸した事をきっかけに精油の研究を始め、さまざまな論文を発表しながら、「アロマセラピー」という言葉を作りました。

第二次世界大戦中、 薬が不足した時、フランス人の軍医ジャン・パルネは精油を治療のために広く用いました。同じ頃、オーストリア出身の生化学者マグリット・モーリーは、 精油を植物油に希釈したオイルでのマッサージを提唱し、一般に広めました。

1977年、イギリス人 ホリスティックアロマセラピーのリーダー的存在であるロバート・ティスランドが「The Art of Aromatherapy」を発表しました。これが、アロマセラピーが大流行するきっかけとなり、現在では世界中に広まりを見せています。


日本のアロマの歴史

日本では、1980年代頃からアロマセラピーに関する出版物が出始め、芳香浴やトリートメントを中心に、イギリス式のアロマセラピーのブームが訪れました。

そして、1990年代頃からは、ベルギーやフランスで発達したメディカルアロマセラピーも注目を集め始め、医療の現場でも活用され始めています。

最近では、アロマ トリートメントサロンはもちろんのこと、各種治療院、ホテルやスポーツクラブ、理美容院などでもアロマ トリートメントが取り入れられ、また、ペットのためのアロマセラピー、スポーツのためのアロマテラピーなども広がりを見せています。

趣味として楽しむだけではなく、お仕事、リラクゼーションビジネスとしての側面でも、アロマセラピーの可能性はこれからもますます広まっていくことでしょう。